高崎市内で相続相談を受けていると、ある日突然「父が認知症と診断されて、実家を売れなくなってしまった」というご相談が毎月のように寄せられます。親御さんが元気なうちは「まだ大丈夫」と思っていても、認知症の診断を受けた瞬間から不動産は法律上凍結状態になり、売却も賃貸も自由にできなくなります。
実際に私が担当したケースでは、高崎市内の一戸建てを売却しようとした矍鑠としていた父親が、認知症の診断を受けたことで司法書士から契約を止められ、家族全員が途方に暮れたという事例がありました。このような事態は決して珍しくなく、65歳以上の約6人に1人が認知症という時代において、誰もが直面しうる問題です。
この記事では、親が認知症になると不動産がなぜ凍結されるのか、どのような対策が可能なのか、そして万が一凍結されてしまった場合の解決策について、現場経験をもとに具体的に解説します。
認知症になると不動産が凍結される法的理由
不動産の売却や賃貸契約には、所有者本人の意思能力が法律上必ず必要です。民法では、意思能力がない状態で結んだ契約は無効とされており、認知症と診断されると医学的にこの意思能力が欠如していると判断されます。
具体的には、不動産売買契約を結ぶ際に司法書士が本人と面談して意思確認を行いますが、認知症の診断書がある場合や明らかに受け答えができない場合は、契約不可と判断されます。たとえ家族全員が売却に賛成していても、所有者本人が認知症であれば契約は成立しません。
高崎市内でも、空き家になった実家を売却しようとしたところ、施設に入所している親が認知症で意思確認ができず、買主が見つかっていたのに契約できなかったという事例が年間10件以上あります。この状態を「不動産の凍結」と呼びます。
認知症による凍結で起こる具体的なトラブル
不動産が凍結されると、さまざまな実害が発生します。まず、空き家の固定資産税は毎年発生し続けます。高崎市内の一般的な一戸建てで年間10万円から15万円程度、親が施設に入所している場合はその費用も合わせて月額15万円から20万円の支出が続きます。
さらに、空き家は老朽化が進みやすく、雨漏りや屋根の破損が起きても修繕費用を捻出するために売却することができません。実際に私が関わった事例では、親が認知症になってから3年間空き家のまま放置され、屋根が崩れて隣家に被害が及び、損害賠償問題に発展したケースもありました。
また、相続税の納税資金を確保するために不動産を売却したいと考えていても、親が認知症であれば生前売却はできず、結果として相続後に慌てて売却することになり、買い叩かれるリスクも高まります。
成年後見制度を使った凍結解除の方法
認知症で不動産が凍結された場合、唯一の解決策が成年後見制度の利用です。家庭裁判所に申し立てを行い、成年後見人を選任してもらうことで、後見人が本人に代わって不動産の売却手続きを進めることができます。
ただし成年後見制度には注意点があります。申し立てから後見人選任まで平均3か月から6か月かかり、さらに不動産を売却する場合は家庭裁判所の許可が必要で、許可が下りるまでさらに1か月から2か月を要します。つまり、売却完了まで最短でも半年以上かかるのが現実です。
また、後見人には弁護士や司法書士などの専門家が選ばれることが多く、その場合は月額2万円から5万円の報酬が本人が亡くなるまで発生し続けます。高崎市内の事例では、後見人報酬だけで年間30万円以上かかるケースも珍しくありません。
認知症になる前にできる3つの事前対策
不動産凍結を防ぐには、親が元気なうちに対策をとることが不可欠です。第一の方法は任意後見契約の締結です。認知症になる前に信頼できる家族や専門家と契約を結んでおくことで、認知症になった後もスムーズに財産管理ができます。
第二の方法は家族信託の活用です。親が元気なうちに不動産の名義を信託財産として子に移し、管理運用の権限を子に委託することで、親が認知症になっても子が売却や賃貸の判断を行えます。家族信託は初期費用として30万円から50万円程度かかりますが、成年後見制度の継続的な報酬と比べると経済的です。
第三の方法は、親が元気なうちに生前贈与や売却を済ませてしまうことです。特に空き家になる見込みがある実家は、親の意思がはっきりしているうちに売却して現金化しておくことで、後の相続手続きも大幅に簡素化されます。
高崎市で実際にあった認知症と不動産凍結の事例
ある相談者は、高崎市内の実家に一人暮らしをしていた母親が認知症と診断され、施設入所が決まったため実家を売却しようとしました。しかし司法書士の意思確認で母親が契約内容を理解できず、契約直前で中止になりました。
その後、成年後見制度を利用して後見人を選任し、家庭裁判所の許可を得て売却を進めましたが、申し立てから売却完了まで9か月を要しました。その間も固定資産税と施設費用は毎月かかり続け、当初の買主も待ちきれずキャンセルとなり、結果として当初提示額より200万円安い価格での売却となりました。
別の事例では、親が元気なうちに家族信託を組んでおいたことで、認知症と診断された後もスムーズに売却でき、希望価格での成約を実現できました。事前対策の有無が、結果に大きな差を生むことを実感した事例です。
まとめ|親が元気なうちに不動産の将来を話し合うことが最大の対策
親が認知症になると不動産は法律上凍結され、売却も賃貸もできなくなります。成年後見制度を使えば解除は可能ですが、時間もコストもかかり、希望通りの結果が得られないリスクもあります。
最も有効な対策は、親が元気なうちに任意後見契約や家族信託を検討し、不動産の将来について家族で話し合っておくことです。高崎市内でも、事前対策をしていた家族とそうでない家族では、相続後の負担に数百万円単位の差が生まれています。
もし親御さんの物忘れが気になり始めたら、それは対策を始める合図です。専門家に相談して、家族にとって最適な方法を早めに検討してください。
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