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兄弟共有名義の不動産売却|トラブルを避ける手順と注意点を専門家が解説

2026年06月09日

先月、60代のご兄弟がお揃いで事務所にいらっしゃいました。お父様が遺された高崎市内の一戸建てを売却したいとのご相談でしたが、話を聞いていくと、お二人とも「兄弟で揉めたくない」という思いがありながらも、売却価格や時期について意見がすれ違っていました。このように、兄弟で共有名義になった不動産の売却は、法律的な手続きだけでなく、感情面での配慮も必要になる難しい問題です。

親から相続した不動産が兄弟の共有名義になっているケースは非常に多く、私がこれまで25年間で扱ってきた相続案件の約6割が共有名義でした。売却を進めるには全員の同意が必要となるため、一人でも反対すれば売却できません。しかし、適切な手順と配慮があれば、円満に売却を完了することは十分に可能です。

この記事では、兄弟共有名義の不動産を売却する際の具体的な手順と、トラブルを避けるためのポイントを、現場経験をもとに詳しく解説します。

兄弟共有名義の不動産が生まれる背景

相続が発生すると、遺言書がない場合は法定相続分に従って遺産が分割されます。子どもが複数いる場合、現金のように簡単に分けられない不動産は、兄弟で共有名義にするケースが一般的です。たとえば兄弟2人なら各2分の1、3人なら各3分の1ずつの持分で登記されます。

共有名義は当面の相続手続きとしては便利ですが、実際に売却や活用を考える段階になると、共有者全員の同意が必要になるため、思わぬ障壁となることがあります。私が担当したケースでは、相続発生から5年以上放置された結果、兄弟の一人が海外赴任となり連絡が取りにくくなったり、配偶者の意見が絡んで話が複雑化したりする事例が少なくありません。

また、固定資産税は共有者全員に納税義務がありますが、実際には代表者一人が立て替えているケースが多く、これが不満の種になることもあります。共有名義の不動産は、できるだけ早い段階で方針を決めることが、トラブル回避の第一歩です。

売却には全員の同意が絶対条件

共有名義の不動産を売却する場合、民法上、共有者全員の同意が必要です。持分が多い人だけでは売却できませんし、多数決でも決められません。たとえば兄弟3人の共有で、2人が売却に賛成でも、1人が反対すれば売却は成立しません。

実際に私が担当した事例では、兄が売却を希望していたものの、弟が「思い出の家だから残したい」と反対し、3年以上話し合いが続いたケースがありました。最終的には、空き家の老朽化が進み維持費が年間50万円を超えたことで、弟も売却に同意されましたが、その間に市場価格は下落し、当初より200万円ほど安い価格での売却となりました。

全員の同意を得るには、まず現状を正確に共有することが重要です。不動産の現在の市場価格、維持にかかる年間費用、税金の負担などを数字で示すことで、感情的な対立を避け、合理的な判断を促すことができます。建築士・宅建士・FPの3資格を持つ専門家なら、建物の劣化状況から税務面まで一貫した情報提供が可能です。

売却前に確認すべき3つの重要事項

兄弟全員が売却に同意したら、実際の売却活動に入る前に確認すべき事項があります。まず第一に、登記簿上の共有持分を正確に把握することです。法務局で登記事項証明書を取得し、誰がどれだけの持分を持っているかを確認してください。相続登記が完了していない場合は、先に相続登記を済ませる必要があります。

第二に、不動産の現在の市場価値を正確に把握することです。兄弟それぞれが「このくらいで売れるだろう」という異なる期待値を持っていると、後でトラブルになります。私の経験では、査定額と希望額に1000万円以上の差があったケースもありました。複数の不動産業者に査定を依頼し、客観的な相場を共有することが重要です。

第三に、売却にかかる費用と税金を事前に計算しておくことです。仲介手数料は売却価格の約3%、その他に登記費用、測量費用などがかかります。また、売却益が出れば譲渡所得税が課税されます。相続後3年以内の売却なら特例が使える場合もあるので、税理士や専門家に相談して、手取り額を明確にしておくと安心です。

円滑に進めるための話し合いのコツ

兄弟間の話し合いを円滑に進めるには、いくつかのコツがあります。まず、対面での話し合いの場を設けることです。メールやLINEだけでは、ニュアンスが伝わらず誤解が生じやすくなります。可能であれば、全員が集まれる日を設定し、不動産の現地で話し合うことで、物件の現状を共有しながら議論できます。

次に、第三者の専門家を交えることも有効です。当事者だけだと感情的になりやすい場面でも、専門家が客観的なデータを示すことで、冷静な判断ができるようになります。私が立ち会った話し合いでは、建物診断の結果を示したところ、「修繕に300万円以上かかる」という事実が共有され、売却の方向で意見がまとまったケースがあります。

また、売却代金の分配方法を明文化しておくことも大切です。持分に応じて分配するのが基本ですが、固定資産税を立て替えていた人への精算や、売却活動の労力に対する配慮など、細かい点も話し合っておくと後々のトラブルを防げます。合意内容は書面に残し、全員が署名しておくと安心です。

売却方法は3パターンから選択

兄弟共有名義の不動産を売却する方法は、大きく分けて3つあります。一つ目は、共有名義のまま一括売却する方法です。これが最も一般的で、手続きもシンプルです。売買契約書には共有者全員が売主として署名し、売却代金は持分に応じて分配されます。

二つ目は、持分を一人に集約してから売却する方法です。たとえば兄弟の一人が他の共有者から持分を買い取り、単独名義にしてから売却するパターンです。この方法は、一人が資金力を持っていて、売却のタイミングを自由にコントロールしたい場合に有効ですが、持分の買取価格の決定や贈与税の問題が生じる可能性があります。

三つ目は、共有物分割を行ってから各自で売却する方法です。土地が広い場合など、物理的に分割できる不動産であれば、測量して分筆し、それぞれが単独で所有・売却できます。ただし、分筆には測量費用が50万円から100万円程度かかり、また分割後の土地が狭くなることで個別の価値が下がるリスクもあります。状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。

税務と確定申告の注意点

不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課税されます。譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算されます。相続した不動産の場合、取得費は被相続人が取得した時の価格を引き継ぎますが、古い物件で取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費とする概算法を使います。

相続不動産の売却には、相続税の取得費加算の特例空き家の3000万円特別控除など、税負担を軽減できる制度があります。空き家特例は、相続開始から3年以内の売却で、一定の要件を満たせば譲渡所得から3000万円を控除できる制度です。ただし、建物が昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の物件であることや、相続後に賃貸していないことなど、細かい要件があります。

共有名義の場合、各共有者がそれぞれ確定申告を行う必要があります。売却代金を受け取った翌年の2月16日から3月15日までに、税務署に申告しなければなりません。特例を利用する場合は、必要書類も多岐にわたるため、早めに税理士や専門家に相談することをお勧めします。経験豊富な代表なら、税務面も含めて総合的にサポートできます。

まとめ|早めの相談が円満売却の鍵

兄弟共有名義の不動産売却は、法律・税務・感情面の配慮が必要な複雑なプロセスです。しかし、適切な手順を踏み、専門家のサポートを受けることで、円満に進めることは十分に可能です。まずは共有者全員で現状を正確に把握し、売却の方針について早めに話し合うことが重要です。

放置すればするほど、建物の老朽化や相続関係の複雑化により、売却が困難になるリスクが高まります。私がこれまで担当した案件でも、早期に動き出したケースほど、希望に近い価格で、スムーズに売却が完了しています。兄弟間の関係を良好に保ちながら、不動産という資産を適切に現金化するためには、専門家の客観的なアドバイスが大きな助けになります。

株式会社ホームクエストでは、相続不動産の売却について、現場経験者が建物診断から売却、税務相談まで一貫してサポートしています。兄弟共有名義の不動産でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

ホームクエストでは、相続・空き家・空き地・農地のご相談を承っています。経験豊富な代表が、最初から最後までご一緒します。

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