不動産売却は人生でそう何度も経験するものではないため、想定外のトラブルに遭遇すると対処に困る方が多くいます。事前にどのようなトラブルが起きやすいかを知っておけば、未然に防いだり、発生時にスムーズに対応したりすることが可能です。
株式会社ホームクエストでは、長年の仲介業務を通じて様々なトラブル事例を扱ってきました。本記事では、不動産売却で発生しやすいトラブルのTOP5と、専門家としての対処法を解説します。
第1位:契約不適合責任を巡るトラブル
2020年の民法改正で「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に名称変更されたこの責任は、売却後に発覚した物件の不具合を巡るトラブルとして最も多く見られます。雨漏り、シロアリ被害、給排水設備の不具合、構造的欠陥などが該当し、買主から損害賠償や契約解除を求められるケースがあります。
対処法として最も重要なのは、売却前の物件状況把握です。建築士による事前調査やホームインスペクションを実施し、不具合があれば事前に把握・告知しておくことで、後日のトラブルを大幅に減らせます。
また、契約書での責任範囲の明確化も重要です。「契約不適合責任を一定期間に限定する」「特定の事項について免責とする」といった条項を、買主と合意の上で設定することで、リスクを管理できます。専門家が契約書作成に関与することで、法的に有効かつ公平な条項を盛り込めます。
第2位:境界トラブル
隣地との境界が曖昧なまま売却した結果、買主と隣地所有者の間で境界紛争が発生するケースもよく見られます。「境界が違う」「越境している」といった主張が出ると、引き渡し後の対応が長引く可能性があります。
対処法は、売却前の境界確定測量です。土地家屋調査士に依頼し、隣地所有者の立会いのもとで境界を確定させ、確定測量図を作成します。測量費用は土地の規模によりますが、30〜50万円程度かかるのが一般的です。
費用負担を理由に省略するケースもありますが、トラブルが発生した場合の対応コストや精神的負担を考えると、事前の確定測量は十分に投資価値があります。特に古い土地や、隣地所有者と疎遠な場合は、必須の対応といえます。
第3位:住宅ローン特約による契約解除
買主が住宅ローン審査に通らず、住宅ローン特約に基づいて契約解除となるケースもしばしば発生します。売主としては、契約成立後の解除は時間的・心理的なロスが大きく、トラブルとして認識されがちです。
対処法として、買主のローン審査状況を契約前に確認することが重要です。事前審査(仮審査)を通過していることを確認した上で契約に進むことで、本審査での否決リスクを大幅に下げられます。
また、契約書での住宅ローン特約の期限設定にも注意が必要です。「契約締結から1ヶ月以内」など具体的な期限を設定することで、長期間契約が宙ぶらりんになる事態を避けられます。期限を過ぎたら特約による無償解除はできなくなります。
第4位:仲介手数料を巡るトラブル
仲介手数料の計算方法、支払時期、両手仲介の問題など、手数料を巡るトラブルも一定数見られます。「説明と違う金額を請求された」「両手仲介で利益相反があった」などの不信感が発生するケースです。
対処法は、媒介契約時の明確な説明と書面化です。仲介手数料の計算根拠(売却価格×3%+6万円が法定上限)、支払時期、両手仲介の可能性などを、媒介契約書に明記し、口頭でも丁寧に説明することが基本です。
売主側としては、複数の不動産会社から見積もりや提案を受けることで、相場感覚を持つことが大切です。極端に高額な手数料設定や、不透明な追加費用を要求する業者は避けたほうが無難です。
第5位:価格設定を巡る売主・仲介業者間のトラブル
「売出価格が高すぎて売れない」「査定額より大幅に低い価格で成約された」といった、価格を巡るトラブルもよく見られます。売主の希望と市場実勢のギャップが、不信感につながるケースです。
対処法は、査定の根拠を明確にすることです。複数の取引事例、現地確認結果、市場動向などを根拠に、説得力のある査定額を提示することが、信頼関係の基盤になります。「相場無視の高査定で媒介契約を取りに来る業者」を避け、現実的な数字を出してくれる業者を選ぶことが重要です。
また、売出開始後の価格調整についても事前合意しておくことが大切です。「3ヶ月で動きがなければ5%減額する」といった具体的なシナリオを共有しておくことで、価格修正のタイミングでのトラブルを回避できます。
その他のよくあるトラブル
TOP5以外にも、以下のようなトラブルがあります。
引き渡し時のトラブルとして、残置物の処理、引き渡し時期の調整、設備の不具合発覚などがあります。事前のチェックリスト作成と、引き渡し時の双方確認が予防策になります。
近隣関係のトラブルとして、近隣からのクレーム、騒音問題、近隣との合意事項などが、売却後に問題化するケースがあります。事前告知すべき事項を漏れなく書面化することが対策となります。
共有名義物件のトラブルとして、共有者全員の同意が得られず売却が進まないケースがあります。事前に家族会議を開き、全員の同意を確実にしておくことが必要です。
専門家を活用するメリット
これらのトラブルの多くは、経験豊富な専門家が関与することで未然に防止できます。
建築士の視点では、物件の構造的な問題を事前に把握し、適切な告知や修繕の判断ができます。宅建士の視点では、契約条項の精緻な設計や、法的リスクの管理ができます。FPの視点では、税務面や資金計画を含めた総合的なアドバイスが可能です。
これら3つの視点を持つ専門家がワンストップで対応することで、トラブルリスクを最小化しながら、売却を成功に導くことができます。
まとめ|トラブル予防の鍵は事前準備
不動産売却のトラブルの多くは、事前の準備と適切な専門家の関与で防げます。「売れればいい」ではなく、「トラブルなく売却を完了させる」という視点で、信頼できるパートナーを選ぶことが大切です。
株式会社ホームクエストでは、建築士・宅建士・FPの3資格を持つ代表が、トラブル予防まで含めた総合的な売却サポートを提供しています。安心・確実な不動産売却をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。