市街化調整区域の土地を相続した、あるいは長年所有しているが活用に困っている、というご相談が増えています。市街化調整区域は原則として建物の新築が制限されるため、市街化区域の土地と比べて売却が難しいとされ、活用方法に悩む方が多いエリアです。
しかし、適切な戦略を組めば市街化調整区域の土地も納得価格で売却することは可能です。今回は、株式会社ホームクエストが手掛けた高崎市内の市街化調整区域の土地売却事例を、農地転用の活用も含めてご紹介します。
市街化調整区域とは
市街化調整区域とは、都市計画法によって「市街化を抑制すべき区域」として指定されたエリアです。無秩序な開発を防ぎ、農地や自然環境を保全することが目的とされています。
このエリアでは、原則として住宅などの建物を新築できません。例外として、農林漁業従事者の住宅、既存集落での住宅建築、特定の業種の事業用建物などが認められるケースがありますが、いずれも厳しい条件付きです。
高崎市内にも、合併で市域に組み入れられた郊外エリアを中心に、市街化調整区域が広く存在します。これらの土地は、市街化区域と比べて坪単価が3分の1から5分の1程度と大幅に安く、その分売却が難しいという特性があります。
事例:相続した約500㎡の田んぼ
ご相談いただいたのは、高崎市郊外の市街化調整区域に約500㎡の田んぼを相続した50代の男性でした。父親が長年農業を営んでいた土地で、相続後は耕作する人もなく、5年以上耕作放棄地となっていました。
物件の概要は次の通りです。地目は「田」、面積約500㎡、市街化調整区域、農業振興地域、前面道路は幅員4mの市道、上下水道なし。複数の地元業者に相談しましたが、「農地のままでは売れない」「買い手がつかない」という回答ばかりでした。
お客様としては、固定資産税の負担と、近隣からの「雑草が伸びている」というクレームに悩み、何とか売却できる方法を探していました。
採用した戦略:農地転用での開発検討
弊社では、まず物件の用途可能性を多角的に分析しました。市街化調整区域内であっても、特定の条件下では建物建築が認められる可能性があり、特に「既存集落」内の土地であれば、住宅建築の許可申請も視野に入ります。
本物件は集落の縁辺部に位置し、周辺には住宅も点在していました。建築士の視点で、開発許可と農地転用許可が同時に下りる可能性があると判断し、地元工務店や開発業者へのアプローチを進めることにしました。
並行して、農業を続けたい方への売却の可能性も探りました。近隣で農業を営む方や、新規就農を検討している方に対して、物件情報を提供しました。
成約までの流れ
販売開始から約3ヶ月後、地元の工務店から「住宅建築用地として購入したい」という申し入れを受けました。この工務店は、市街化調整区域でも特定条件下で建築許可を取得できるノウハウを持っており、本物件の立地条件であれば許可取得の見込みが高いと判断したのです。
取引にあたっては、農地法の許可申請、開発許可申請、農業振興地域からの除外手続きなど、複数の行政手続きを進める必要がありました。弊社では、行政書士や土地家屋調査士と連携し、各手続きの進行管理を担当。約半年かけてすべての許可を取得し、土地の引き渡しを完了させました。
最終的な成約価格は800万円。当初「買い手がつかない」とされていた土地としては、お客様にとって満足度の高い結果となりました。固定資産税負担からも解放され、長年の悩みが解消したと喜んでいただけました。
市街化調整区域売却のポイント
本事例から得られる市街化調整区域売却のポイントを整理します。
まず、用途可能性を正確に把握することです。市街化調整区域でも、立地や条件によって建物建築の許可申請が可能なケースがあります。「市街化調整区域だから建てられない」と決めつけず、専門家による調査が重要です。
次に、農地転用の選択肢を検討することです。農地として売却するか、農地転用して住宅地として売却するかで、買主層も価格も大きく変わります。地目変更の手続きには時間とコストがかかりますが、それを上回るリターンが得られる場合があります。
そして、行政手続きに精通した専門家との連携です。市街化調整区域・農地の取引は、複数の法律と行政手続きが絡み合います。実務経験のある不動産会社・行政書士・土地家屋調査士との連携が、成約への鍵となります。
市街化調整区域の土地でできる活用
売却が難しい場合の活用方法も合わせて検討する価値があります。
1つ目は駐車場・資材置き場としての賃貸です。建物を建てなくても、地目変更なしで利用可能なケースがあります。
2つ目は市民農園としての活用です。農地のまま、利用希望者に区画を貸し出す方法です。地域貢献にもつながります。
3つ目は太陽光発電設備の設置です。条件を満たせば、農地転用なしで太陽光発電に活用できるケースもあります。
4つ目は農業者への売却・賃貸です。新規就農を希望する方や、規模拡大したい農業者にとって、まとまった農地は貴重な資産となります。
まとめ|諦める前に複数選択肢の検討を
市街化調整区域の土地は、適切な戦略があれば必ず活用の道があります。「売れない」と諦める前に、用途可能性・買主層・活用方法を多角的に検討することが大切です。
株式会社ホームクエストでは、高崎市内の市街化調整区域や農地の取引について、行政手続きを含めたトータルサポートを提供しています。「使い道のない土地に困っている」という方は、お気軽にご相談ください。